今日は、フレディの誕生日なので、西条八十の詩を。
戀の棺
語りえぬ二人の戀なれば
われら別るる日にも
絶えて知るひとの無かるべし。
その日、われらは樂しく山にのぼらむ、
晴れたる空のもとに、われらが燦かしき石花石膏の棺は、
逞ましき西班牙生れの經子によりてにせはるべし。
われら、山頂の黒き土に巨なる穴をうがち、人知れず戀の棺を埋めむ。
おんみは愛撫の白き鸚鵡を贄とせよ、
われは寂しく黙して金雀兒(えにしだ)の花を毟らむ。
かくて谿々に狭霧たちこめ
夕つづほのかに匂ひそむるころ
われら互に微笑みて山を下らむ。
語りえぬ二人の戀なれば
われらが棺の上に草生ふる日にも
絶えて知るひとの無かるべし。
お誕生日、おめでとう。